憧れのルーツ「エジプト」

LIFE SPICE SHOP

ぼくらがここを創るまで、ぼくらもここに出会うまでのプロローグを綴っています。

ヨルダンから船で、エジプトへ。
貨物船での入国だったので、同じ船にツーリストの姿もなく、何処に行ったらいいのかも分からない。

近くで荷下ろしの作業をしていた人に、話を聞いてビザを発行してくれる窓口まで案内をしてもらいました。

丁度、お昼時で窓口が開くまで1時間ほど待たないといけないと言うことで、炎天下の中途方に暮れながら時間が過ぎるのをただただ待ちました。

1時間後、無事ビザをゲットし外に出るとバスと、乗り合いタクシーがパラパラと目に入るものの、目的地「カイロ」行きのバスは今日はないとの事・・。
乗り合いタクシーもさすがにカイロまでは行かないと、ことごとく断られてしまい、さてどうしたものか。
(近くの町やツーリストがこの場所から向かうダハブへのバスは数多くあったのですが、カイロ行きはたまたまなのかその日はないとの事。)

周りには港の施設以外の建物も見当たらないこの場所に、泊まれるような所もなさそうなので、必死にタクシーや貨物車両に声をかけカイロまで連れて行ってくれと交渉しました。

ようやく人が集まればカイロまで向かってくれるという乗り合いタクシーを見つけ、乗って待っていろとの事なので、乗り込みました。
バックパックを車の上に積まれてしまったので、もう後には引けない状態。
そのまま4時間程経過・・。一向に人は集まらず、出発する気配もありませんでした。

どんどん空も夕方のオレンジへと変わり、カイロに着く頃には夜になってしまう。
特に宿も決めていなかったので少し不安を感じ始めたその時、5~6人のエジプト人が車内に乗り込んできました。
ようやく満席になった所で、何も言われぬまま車は動き始めました。

港を出ると、当たり一面砂漠。
空は夕方から夜へ移り変わっていき、窓からの景色はとても幻想的でした。
(ここまでの景色や状況は不安な気持ちとぎゅうぎゅう詰めの車内で、写真に1枚も残っていません。今心から残念に思っています。)

ヨルダンのペトラを出発したのが、朝7時頃。
日付が変わる前、ギリギリ23時過ぎに「カイロ」に到着しました。

着いたはいいものの、ここが何処なのか、何処に何があるのかもわからない状態。
ふらふらと彷徨っていると、エジプト人の若者2人組に話掛けられました。
2人はとても親切で、バックパッカー向けの安宿が集まる地域まで案内してくれました。
(しかも、電車の切符まで買ってくれました。本当に救われた。)

チェックインを済ませ、荷物を降ろすとヘトヘトになっていた僕はそのまま就寝。

翌朝目が覚めて、すぐに「ピラミッド」へ向かうことに。

ピラミッドを始めとするエジプトの遺跡は僕が幼い頃、初めて海外に興味を持ったきっかけでした。
小学校3年生の冬。1ヶ月程入院生活を送った事があります。

自由に動く事も制限された1ヶ月間の入院生活の中で、病院内の小さな書店で親に買ってもらった一冊の本に僕は夢中になりました。

「古代エジプト文明の謎」

良くコンビニで見かける、分厚いサブカル本です。
その本は、退屈であったはずの僕の入院生活にワクワクを与えてくれ、初めて海外に行ってみたいと興味を与えてくれました。
この本がきっかけで、あまり勉強に面白さを見出すことのできなかった僕が「歴史」だけは楽しく学ぶ事ができました。

あれから15年程たったこの時、僕はエジプトを訪れピラミッドや王家の谷を自分の目で観て感じる事ができました。

幼い頃憧れた「ピラミッド」

幼い頃憧れた「ピラミッド」


王家の谷。ルクソール郊外。

王家の谷。ルクソール郊外。

観光地であるが故に、思っていたような宇宙のパワーを感じるようなミステリアスな場所ではなかったかもしれません。

でも、自分の足でその地に立ち、自分の目であの日写真を見ながら想像していたものを見ている状況には、
とても感慨深いものがありました。

小さい時から古代文明や遺跡、宇宙に憧れを抱き想像してワクワクしていましたが、
考古学者や宇宙飛行士を憧れはありましたが、不思議と目指そうと思った事はありません。
想像していたのは、いつも憧れの、その場所に立っている自分でした。

本で見た景色。

本で見た景色。

小さい頃に憧れた「エジプト」。意識することなくその地を訪れ、思い出した記憶です。

エジプトには、そんな昔の自分を思い出し「今」に浸る事のできる時間がありました。

憧れを持ち、その場所に立ち、今後どう自分の中で生かすのか。
また1つ、大きな楽しみを抱いた場所でした。

忘れていた、今の自分のルーツの1つを思い出す事がよかったと思います。
過去に憧れた自分が、いつか今の自分になる。そんな幸せな瞬間があることを知ることができました。

がんばろ。

LIFE SPICE SHOP
150-0034
渋谷区代官山町8-3 1F
contact@lifespiceshop.com

コメントを残す

*