5月の連休が終わったら一息つける時間が取れそうだね。と話していた時期に、自分たちの憶う「チャイ」の確認を兼ねてインドへ行くことを決めました。
インドの道端で飲めるチャイ。お店を出すことを決めてすぐインドへ渡り、ひたすら現地で飲み歩き、聞き歩いて、完成させたチャイですが、オープンから1年と少しが経ったこのタイミングで、再びその味や空気を感じることが必要だと感じていました。
行き先はインド西部の街「ジャイプル」。ピンクシティとも呼ばれるこの街のピンクは、砂漠を持つラージャスターン州に溶け込む インド独特なダイナミックさと、この地域の繊細さが混じる そんな色に感じました。
雨季前の5月は1年でもっとも平均気温が高く、連日40度を超える暑さ。オフシーズンらしく観光客はほとんど見かけませんでした。
2年前オープンに向けチャイの勉強にと訪れた灼熱のバラナシでひたすらに飲み歩いた、あの時の記憶がすぐに蘇りました。
街を散策すると、やはり至るところでチャイの露店を目にします。その形は店舗というより、路肩や建物のちょっとしたスペースでチャイを淹れ、ラフに置かれた椅子あるいは立ちながらチャイを飲むスタイル。足を止めて、バイクやリキシャ(インドの三輪バイク)を止めて、人が集まり一息つく時間。僕らが伝えたい「チャイというカルチャー」 はここジャイプルでもしっかりと感じることができました。 関連記事:「チャイ」というカルチャー
ジャイプルで飲むチャイは、紅茶のコクと生のジンジャーの口当たりが印象的。カレーもそうですが、暑い時こそスパイスの効いた熱々のチャイは身体に元気を与えてくれます。身体にこもった余分な体温を逃し、喧騒な街に疲れた心も優しく癒してくれます。
露店やレストラン以外でも、小さなお店や家族で営む工房などに行くと当たり前にチャイを振舞ってくれます。「冷めると美味しくないから、まずはゆっくりチャイを飲もう。」と、たまたま入った生地屋の店主のその言葉に(チャイ屋として)共感できて、なんだか嬉しく感じました。
ちなみにジャイプルでは昔ながらの素焼きの器にチャイを淹れてくれる露店をほとんど見かけませんでした。(小さな素焼きの器は飲み終えると、地面に叩きつけ割るスタイル。割れた器は雨風で土に還るスーパーエコカップです。)グラスか小さな紙コップ。僕らの行動範囲内にたまたまなかっただけなのか、それとも時代なのか。ほんの数年前までは何処に行っても当たり前に見かけていただけに少し残念でした。6年前初めて訪れたインドで、飲み終えた素焼きの器を持って帰りたいと尋ねると、「お前が割らないとそれを作る人の仕事がひとつなくなってしまう。」と言われたことを思い出しました。時代の変化で少しずつ暮らしが便利になっていく一方でなくなってしまう仕事と伝統。海外から新しいものやサービスがインドにも沢山入ってきているように感じた反面、インドには深く根付いた 決して変わる事のない、日常であり特別な 素敵な文化が沢山あると感じました。その一つが「チャイ」というカルチャーで、チャイの時間のあり方は何処の国にも通用する必要な時間だと思います。
自分たちがお店をオープンして日頃から思っていたことが、随所に感じることができたいい旅でした。
「だからチャイなんだ。」と再確認です。
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